2025年登記所地図データを公開しました

KotobaMedia の中核にある理念の中にあるのは、物理と仮想世界の橋を作ること。物理世界といえば建物、土地。4年前から法務省が全国の登記所備付地図の電子データを公開していますが、まだこのデータを楽に使える基盤がなく、 KotobaMedia で処理済みのベクトルタイルを公開することを決めました。

登記所地図データは細かいので、ズームアウトされた状態で把握することが難しいため、地域メッシュコードで簡単な集計を行っています。ズームレベル16から、登記所地図データの詳細が表示されます。

こちらのタイルサーバーは自由にお使いいただけます。商用利用される前にご相談ください。

任意座標系・公共座標系

登記所地図データは、代々管理してきた紙の地図をスキャンして取り込でデジタル化された歴史あるデータとなります。それぞれの地図ごとにばらばらの座標が振られています。この「任意座標系」のままだと、形状がわかるが、土地が実際にどこにあるかも、面積などの線の長さ等はわかりません。マッピング作業により、座標をそろえる「公共座標系」に変換すると、位置や広さを計算できるようになり、別のデータとも重ねて使えるようになります。今回公開しているデータセットは「公共座標系」のデータのみとなります。

今回(2025年)で任意座標の比較を計算しましたが、筆ベースでいうと下記の様になりました。

  • 任意座標系 130,738,651 筆 (53.3%)
  • 公共座標系 114,768,741 筆 (46.7%)

興味ある方には、計算するツールを公開しています。

タイルができるまでのプロセス

これからはこのタイルをどう生成できるか・どう生成されたかの説明をしたいと思います。さらに詳細にドキュメンテーションされている資料あるので、ご自身で処理を試してみたい方は確認してください。

  1. G空間情報センターから全国のZIPファイルをダウンロードする
  2. それぞれのZIPファイルを中間のFlatGeobufファイルに変換する
    • この変換処理は mojxml2ogr ツールを使います
      • デジタル庁が公開している mojxml2geojson より優れている点は、高速で処理できる上で、GeoJSON ではなくて GDAL を利用しているので、出力形式は幅広く対応しています
      • あと、魅力的な点としては自治体別のZIPファイルの中に更にZIPファイルがいっぱいあって、再帰的にZIPファイルを解凍してくれます
  3. 自治体別の FlatGeobuf を PostGIS にインポートする
    • 集計のために一回 PostGIS にインポートしたかった
    • 最終的に tippecanoe でタイル化を行うため、1つのFlatGeobufにまとめる必要ありますが、実際試してみたとき、 ogr2ogr でまとめるより PostGIS でまとめた方がはるかに処理速度速かったので、採用しました
  4. PostGIS からまとめた FlatGeobuf を出力する
  5. tippecanoe で詳細タイルを予め作っておく
  6. 地域メッシュの集計を行う
  7. それぞれの集計(1次~4次メッシュ)を FlatGeobuf に書き出し、タイル化する

最後に

最後に読んでいただき、ありがとうございました。今回リリースは最低限、登記所地図データの「楽」に使える入口であって、これからさらに楽に使うための機能を需要に応じて追加していく予定です。

興味ある方は、ぜひ連絡してください。どのような場面でこのデータが使われる、使えそうかを雑談レベルでも話しましょう。